個人事業をされている方が建設業許可を受けようと考えられる場合、そのタイミングで法人化される方も多くいらっしゃいます。

取締役会や監査役を設置していない小規模な会社であれば、会社設立自体は、それほど難しいことではありません。

しかし、建設業許可を受けようとされる場合には、会社設立にあたって注意しなければいけないポイントがいくつかあります。

建設業許可を個人事業主として受けるべきか法人として受けるべきかお悩みの方についてはこちらのページをご覧ください。
>> 個人事業主で建設業許可を取るべきか?法人化するべきか?

法人の事業目的について

会社設立にあたっては、原始定款に事業目的を記載し、その事業目的を登記する必要があります。

建設業の許可を受けるには、これから受けようとする業種について、事業目的に記載されている必要があります。

求められる記載内容については、都道府県によって形式が異なったりしますので、事前に行政の窓口に確認しておくことをお勧めします。

電気工事業」や「屋根工事業」などのように、これから許可を受けようとする業種名をそのまま入れてしまうのでもかまいませんし、より具体的な内容を記載することでも認められる場合があります。

大阪府では、下記の事業目的が入っていれば、一定の申請業種において許可申請が認められています。
大阪府における事業目的の記載範囲の目安

 建設業・土木建築工事

全申請業種に対応

☑ 建築工事

土木一式工事、ほ装工事、しゅんせつ工事、さく井工事以外の業種に対応

☑ 土木工事

建築一式工事、大工工事、左官工事、屋根工事、板金工事、ガラス工事、防水工事、内装仕上工事、建具工事、以外の業種に対応

☑ 設備工事

とび・土工工事、電気工事、管工事、機械器具設置工事、熱絶縁工事、電気通信工事、さく井工事、水道施設工事、消防施設工事に対応

また、今回は許可を受けなくても、将来取得したいと考えている許可業種があるのであれば、その許可業種を事業目的として入れておく方がよいでしょう。

将来、業種追加する際に事業目的を追加することもできますが、その際には、登録免許税や専門家の費用等がその際にもかかってしまいますので、先に一緒に入れておく方が望ましいと思います。

法人の役員について

建設業許可を取得するには、「経営業務の管理責任者」を置かなければなりません。

この「経営業務の管理責任者」は、法人の場合、常勤の役員であることが求められます。

よって、法人設立の際に、少なくとも、「経営業務の管理責任者」となる方については、取締役としておかなければなりません。

個人事業からの法人化の場合には、個人事業主が「経営業務の管理責任者」となることがほとんどでしょう。

また、将来の後継者(事業主の息子さんなど)がいらっしゃる場合には、経営業務の管理責任者になるための実務経験を積んでもらうために、その後継者を取締役に据えておく必要があります。

経営業務の管理責任者が欠けてしまっては、建設業の許可を継続させることができません。

よって、万一に備えて、次なる後継者を育てておかなければなりません。

このことについては、忘れやすいので、会社設立の段階で事業を継続させるための対策のことも考えておくことが大切です。

資本金の額について

建設業許可を取得するには、財産的な要件として500万円以上の資産がある必要があります。

この要件は、新設法人で許可を取得する場合には、資本金を500万円以上にすることでクリアすることができます。

法人名義の口座に500万円以上の残高があることを証明することでもクリアすることができますが、会社設立時に資本金を500万円以上にしておくことで、スムーズに建設業許可を受けることができるようになります。

以上が、法人化してから建設業許可を受ける際のポイントとなります。

個人事業の許可は、法人に引き継ぐことはできませんので、個人事業の方で将来法人化を考えている方については、先に法人化してから建設業許可を取得する方が、後になって、余分な費用を支払う必要がなくなります。

ですから、その点をよく考えてから建設業許可の申請をすることをお勧めします。

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