建設業の許可業種は29種類に区分されていますが、その中でも少し異質な業種として「建築一式工事」と「土木一式工事」があります。


土木一式工事及び建築一式工事(以下「一式工事」)とは、次のような工事のことをいいます。

一式工事とは?

① 総合的な企画指導調整(施工計画の総合的な企画、工事全体の的確な施工を確保するための工程管理及び安全管理、工事目的物、仮設物、工事材料等の品質確保、下請負人間の施工の調整、下請負人に対する技術指導、監督等)が必要な工事
② 大規模かつ複雑で、専門工事では施工困難な建設工事
③ 複数の専門工事を組み合わせて施工する建設工事

一式工事の詳しい説明

上記の内容だけでは分かりにくいとは思いますので、少し説明させていただきます。

建設工事の施工というのは、一般的にはそれぞれ独立した各種専門工事総合的な組み合わせにより行われています。

例えば、一軒の家を建てる場合でも、大工工事屋根工事管工事電気工事内装仕上工事などが組み合わさって施工されています。

これらの総合的な工事を元請として発注者さんから直接請け負い、それぞれの下請業者へ発注し、工事の総合監督を行う業者が「一式工事」の許可が必要な業者となります。

よって、「一式工事」は他の27業種と異なり、原則として元請の立場で総合的なマネージメントが必要とされます。

ですから、原則として下請工事を請け負う場合には該当しません。

一式工事の許可があれば、どんな工事でも施工できるのか?

ごく稀に、「一式工事」の許可を取得していれば、全ての工事を請負うことができるとお考えの事業者様がいらっしゃいますが、これは大きな間違いです。

一式工事」は、建設工事において「総合的な企画、指導、調整のもとに建築物(土木工作物)を建設する工事」と規定されており、専門工事ごとに下請業者に発注し、その下請業者を指導監督することが業務内容となります。

よって、一式工事の許可を取得すれば、全ての専門工事ができるようになる訳ではなく、
各専門工事を請負う場合には、その専門工事の許可が必要になります。(但し、1件の工事の請負金額が500万円未満の場合には許可は必要ありません)

ですから、本当は「屋根工事」や「内装仕上工事」も必要なのに、「建築一式工事さえ取っていれば、全部できるはずだからこれだけ取ろう!」といった勘違いをしてしまうと、後で業種追加をする羽目になり、余計な費用がかかることになるかもしれません。

お気を付けください!

どの業種で許可を取ればいいのか不安な場合は、お近くの行政書士に必ず相談してください。

建築(土木)工事業の建設業許可を取得するには?

では、ここからは建築(土木)工事業の建設業許可を取得するための要件の概要について解説します。

建設業許可を取得するには次の5つ要件を満たす必要があります。

建設業許可取得するための要件

① 経営業務の管理責任者がいること
② 専任技術者がいること
③ 請負契約に関して誠実性があること
④ 財産的基礎または金銭的信用があること
⑤ 欠格要件に該当していないこと

実際の許可申請では、これらの要件を満たし、かつ書面にて証明(確定申告書や契約書類等)する必要があります。

経営業務の管理責任者とは?

経営業務の管理責任者とは、個人の場合申請者法人の場合常勤の役員で、過去に一定期間、建設業の経営経験がある方のことをいいます。

経営業務の管理責任者は常勤性が求められるため、他の法人の常勤役員専任性のある業務(営業所を異にする宅建業の取引主任者等)との兼任ができません。

建築(土木)工事業の経営業務の管理責任者となれる方

建築(土木)工事業の建設業許可で経営業務の管理責任者となるための経営経験としては主に次のものがあります。

建築(土木)工事業を営む事業所5年以上の法人役員・個人事業主としての経営経験があること
建築(土木)工事業以外の建設業を営む事業所6年以上の法人役員・個人事業主としての経営経験があること

※その他、経営業務の補佐経験で要件を満たす場合もあります。
※上記経営経験要件は、令和2年10月1日から変更される予定です。

>> 経営業務の管理責任者の要件について詳しくはこちら

専任技術者とは?

建築(土木)専任技術者とは、技術上の統括責任者としての役割を果たす建設業の業務について専門的な知識や経験を持っている方のことをいいます。

専任技術者の要件を満たすのは、次の実務経験又は資格いずれかを有している方となります。

また、専任技術者は「専任性」が求められますので、営業所に常勤して専ら専任技術者としての職務に従事する必要があります。

建築(土木)工事業の選任技術者となれる方

建築(土木)工事業の選任技術者となるための主な実務経験

大学・短期大学・高等専門学校等(業種ごとに定められた学科)の卒業後、3年以上解体工事業に関する工事の経験がある方
高等学校・中等教育学校等(業種ごとに定められた学科)の卒業後、5年以上解体工事業に関する工事の経験がある方
10年以上建築(土木)工事業に関する工事の経験がある方

建築工事業の専任技術者となるための主な資格

1級建築施工管理技士
②2級建築施工管理技士(建築)
1級建築士
④2級建築士
⑤技術士(建設・総合技術監理部門(建設))
など
※赤字資格は「特定建設業」の専任技術者となることもできます。

土木工事業の専任技術者となるための主な資格

1級土木施工管理技士
②2級土木施工管理技士(土木)
1級建設機械施工技士
④2級建設機械施行技士(第1~6種)
⑤技術士(建設・総合技術監理部門(建設))
など
※赤字資格は「特定建設業」の専任技術者となることもできます。

>> 専任技術者にの要件ついて詳しくはこちら

その他の要件について

>> その他一式工事業の建設業許可を取得するための要件について詳しくはこちらをご覧ください。

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行政書士の中村 武と申します。

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